ネットワークオーディオ再生の必需品であるLAN接続ストレージ、いわゆるNAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)。リンがDSシリーズを世に問うて以来、オーディオファンはPC向けに作られたNASをオーディオ用に「転用」してきた。

その状況を打破したのが、バッファロー。「オーディオ用」として考えつくされたNASを2014年にDELAシリーズとしてリリースしたのである。ここではDELAユーザーである山本浩司さんにその画期的内容を詳説してもらう。(DigiFi編集部)

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画像: N1AH20(左)、N1AH40BK(右)

N1AH20(左)、N1AH40BK(右)

[DigiFi 21号レビュー]DELA オーディオ専用NAS N1Aシリーズ

 さて、電源端子が3Pインレット型のDELAはケーブル換装が容易だ。そこで電源ケーブルの強化によって高音質化が図れるかどうかを試してみた。

 用意したのはステレオサウンド製リファレンスケーブルとオヤイデPA23という2種類の電源ケーブル。実際、その音質向上効果は目覚ましかった。

 付属ケーブルの品質もけっして悪くない感触だったが、前者に付け替えると、明らかなワイドレンジ・サウンドとなり、ヴォーカルの明瞭度が向上し、音調がいっそう素直に。後者で印象的だったのが、低域の押出しのよさ。音楽に好ましい力感が付与され、聴き応えが大きく増した印象だ。高級電源ケーブルへの換装、これは間違いなく効果があると断言できる。

 また、使いこなし上で音質向上メリットが断然大きいと実感したのが、「背面LEDの消灯」と「ディスプレイの消灯」。このふたつを実践すると、S/N感が向上、音場感情報が豊富になると同時に、静寂の気韻がいっそう深まることがわかった。ユーザーはぜひお試しいただきたい。

画像: 付属ケーブル DELAに付属する電源ケーブルはいたってノーマルなタイプとなっている。重要なのは、オーディオ用として市販されている電源ケーブルを使える3P仕様のインレットを備えていることだ

付属ケーブル
DELAに付属する電源ケーブルはいたってノーマルなタイプとなっている。重要なのは、オーディオ用として市販されている電源ケーブルを使える3P仕様のインレットを備えていることだ

画像: ステレオサウンド リファレンスシリーズ SSPC-2.0 ¥58,000(2m)※頒布終了 ステレオサウンド社の試聴テスト用リファレンスケーブルシリーズの電源コード。導体にPC-Triple C(A)を採用している

ステレオサウンド リファレンスシリーズ
SSPC-2.0 ¥58,000(2m)※頒布終了
ステレオサウンド社の試聴テスト用リファレンスケーブルシリーズの電源コード。導体にPC-Triple C(A)を採用している

画像: オヤイデ PA-23ZX ※生産終了 試聴室で使っているオヤイデ製電源ケーブルも試してみた。PA-23ZXはPCOCC-A導体を採用していたACケーブルで、1.3m品で発売当時、税抜き¥13,000だった

オヤイデ
PA-23ZX ※生産終了
試聴室で使っているオヤイデ製電源ケーブルも試してみた。PA-23ZXはPCOCC-A導体を採用していたACケーブルで、1.3m品で発売当時、税抜き¥13,000だった

USB DAC接続機能の実力は?

 最後に、N1A-BKのUSB DAC接続機能を用いてその音を聴いてみた。ここでは単体D/Aコンバーターではなく、DACボード(DAC-40)をビルトインしたアキュフェーズのプリメインアンプE-260とUSBタイプB端子を備えたデノンのSACD/CDプレーヤーDCD-SX1をN1A-BKと接続、iPadにインストールしてあったリンの操作アプリ<キンスキー>を用いてデジタルメディアコントローラーとした。

 E-260とのコンビネーションならば、2コンポーネンツのシンプルな構成でハイレゾの音楽ファイルが楽しめるし、DCD-SX1と組み合わせればそれだけでCD、SACD、デジタルファイルの3種類を自在に楽しむことができるわけだ。

 こんなスタイルこそ、2010年代後半の美しいサウンド&ライフではないか。これにアナログプレーヤーを買い足せば、今入手できるほぼすべての高音質音楽コンテンツにアクセスできるわけである。

画像: USB DAC付きSACD/CDプレーヤー、デノン DCD-SX1(¥550,000、税別)

USB DAC付きSACD/CDプレーヤー、デノン DCD-SX1(¥550,000、税別)

画像: アキュフェーズは増設用ボードを装着することで機能追加が可能だ。今回はDACボード(DAC40、¥80,000)を装着し、DELAと直結してみた

アキュフェーズは増設用ボードを装着することで機能追加が可能だ。今回はDACボード(DAC40、¥80,000)を装着し、DELAと直結してみた

興味深い反田恭平の『リスト』

 実際に聴いた両モデルの音はとてもすばらしかった。とくにDCD-SX1で聴いた反田恭平『リスト』のCD層、SACD層、ハイレゾファイル(96kHz/24ビットWAV)の比較試聴がとても興味深かった。

 CD層だけを聴いていればそれはそれでプレゼンス感豊かなリッパな音なのだが、SACD層に切り替えると、ソニックステージの実在感がいっそう明らかになり、幅と高さと奥行きを伴なった 3次元的な立体感が味わえるようになる。聴き比べると、CD層は音場が抑え込まれたようなイメージなのである。

 ハイレゾファイルは、個人的にはSACD層よりもいっそう好ましかった。SACD層以上にトランジェント感が向上し、ヴィンテージ・スタインウェイを鳴らす反田の精妙なタッチのニュアンスや音色の豊富さがよりくっきりと浮き彫りになる印象だった。

画像: 興味深い反田恭平の『リスト』

【結論】高音質と多機能、使いやすさが3拍子揃った

 N1Aの音のよさと機能性の高さが従来の汎用NASを大きく凌いでいることがおわかりいただけただろうか。本機の魅力はそれだけではない。すばやく楽曲検索できるナビゲーションツリーも快適だし、どんな操作アプリでもアルバムの曲順通りにプレイリスト化できるのも有り難い。また、タブレットに表示されるカバーアートが高解像度表示可能なのも特筆できる。本機には開発陣の「おもてなし」の心がそこかしこに横溢しているのだ

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